雨波子

今週のお題が寿司ということを今更知った。今週のお題は寿司らしいと言っている人は見かけたのだが、セルフお題を設定しているのかと勘違いしていた。物狂おしいほどに寿司を求めていたので、どうやらはてなブログと寿司周期が似通っているらしい。

谷根千。20代後半になるまでほとんど寄り付かなかったエリア。よくよく考えてみると、学部時代は新宿やら高田馬場で手一杯で、その後は札幌に数年住んでいたのでさもありなんという感じだ。学部生から谷根千を開拓するような風流人ではなかった。大学がそちらにあればまた別なんだろうけども。思えば神楽坂あたりがその手の場所に相当するんだろうか。それにしたって神楽坂のUFOキャッチャーの設定が異様にゆるくなんでも取れたことしか覚えていない。神楽坂は自分の中で、非現実的な住みたい街ランキング1位に輝き続けています。

話を戻すと谷中(千駄木駅からすぐだが、住所的には谷中らしい)の寿司屋、乃池に行った。外で寿司を食べるのは半年前に行った根津の寿司屋ぶりである。他にも行きたい寿司屋はまだあり、このあたりは寿司天国といった趣。新宿は寿司不毛の地なので、こればかりは羨ましくなってしまう。

筋子の西京漬け。ものによってはいけるのだが、西京漬けはそんなに得意ではない。みそ系統の料理はハマると最高だが、一定のクオリティまでだと微妙に感じる体質のようだ。筋子の西京漬けは前者。筋子のしょっぱさと西京みその甘さが交互に押し寄せる波となって訪れ、圧倒される。ついついこんな表現を使ったが、その見事なコントラストの一方で、全体としては棚田のような落ち着きを保っている点が見事というほかない。こんな完成度の高い料理を手頃な値段で食べさせてくれることに感謝だ。

もう一点。マグロはおいしさ曲線が一直線というか、なかなか差を表現することが難しいネタだと思っているのだが、乃池のマグロは妙に優しいまとまりがあり、どうも記憶に残りそうだ。

なんてことはない素材を鮮やかに表現する。寿司でも文章でも、そういった妙技を披露してくれる人たちには心底敬意を払いたい。そういえば前回の根津の寿司屋の日にも雨が降っていた。雨の不快感を寿司が弾き飛ばしていく。