八丈島シックスハンドレッド

人生で幸せだと明言できる瞬間はどのくらいあっただろうか。幸せを探るため、我々は谷根千の奥地へ向かった――。

 

というわけで今回お邪魔したのは根津神社の近くにある「ことぶき」というお店です。なんでもここでは八丈島の郷土料理である島寿司がいただけるとのこと。島寿司、恥ずかしながら全く知りませんでした。いや名前くらいは聞いたことがあるものの、ろくにチェックすることもなく、自分の人生と関わることがないと思っていた。甘かったですね。未知の寿司、食わずにはいられない。その気持ちを新たにしました。

 

店内の写真は撮ってないですが、趣のある細道にあるこじんまりとしたかわいらしいお店でしたね。愛想のいい夫婦が迎えてくれます。メニューを見るとまず値段に驚きます。600円。600円ですね。牛丼で言えばちょっとトッピングを付けた大盛くらいの値段。新宿西口にあるまぐろ丼のてらだやで言えば普通のまぐろ丼(500円)からちょっとグレードアップした(とはいうものの普通のまぐろ丼のほうがおいしい)丼を選んだ時の値段ですね。丼のことはいい。ああでも「ことぶき」にも丼があって、なにか、なんだっけな、なんとか丼がありました。名前が思い出せない。それも600円。

 

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とにかく。

島寿司というのはまぐろのヅケに甘いシャリを合わせた、少々大き目の寿司のことのようだ。甘い寿司。いや甘い寿司ってことは事前調査で知ってたんですよ。甘い寿司。ただ、前の記事も読んだ方ならわかると思うんですが、ここ数日の寿司マフィアにとって甘い寿司といえば「たのしいおすしやさん」を意味していた。ねるねるねるねのところが出している、寿司に擬態したお菓子のことですね。

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はい。ポッピンクッキン。

この、グレープ味だから少し色が似ているのかなと思わせるまぐろの写真と、目の前に出てきた島寿司が脳内でドッキングしてしまって、ギャングスタな甘味を想像してしまっていたんですね。よみがえるロシアで食べたマンゴー入りロール寿司のギャングスタ

はい。食べました。実際甘かったです。アマ、さ.........? と甘さを認識してこれギャングスタかなと思った瞬間、上のヅケの濃いめの味が響いてくる。軽さを演出しておきながらしっかりした振る舞いが垣間見える――そんなん、惚れてまうがな……逆じゃないことが大事……ヅケの重みで殴られる……。

そう、江戸前でおなじみのシャリとネタの融和ではなく、コントラストによって舌をおどらせていく。島の戦略は一味違いました。密林に突如現れるハンプティダンプティ並みのインパクトがある。我々は迷っている。島で。この食の密林で。もちろん答えはない。ないが、あの卵の衝撃は忘れられない。幼心に刻み付けられる奇人の思い出――(途中から小さいころに見たアリスのアニメの記憶が入ってました)。

そうそう、卵焼きもおいしかったです。卵焼き以外もね、サラダも煮物も一品一品がぜんぶおいしい。これで600円。600円のゲシュタルト崩壊ですね。しかも食べていたら途中で「サービスです」と言って巻物や甘味が追加されました。甘味というのは撮り忘れましたがきなこクッキーと甘く煮た豆です。

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この巻物がね…やはりおいしい。おいしい。600円?悪いことをしてるような気になってきますね。いいのかな…。

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はい。こちらは島寿司の本流ではないのかもしれないですが、サバを大根で覆ったものですね。こちらも600円。同じくいろいろついてきます。

大根がある分まぐろよりもコントラストが強烈だったかもしれません。

いわば辛さと甘さのマッチングアプリ。めぐりあっちゃったね。

600円は安すぎるだろと思ってきなこクッキーを買って帰りました。

それも200円だったけど。巡り会いたい方におすすめの島寿司でした。

https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13178928/