軽蔑

2022年のまとめをしていなかった。もっとも、かつてそのようなまとめをしたことは一切ないのだが。2022年は人生をやった感じが強く、比較的危ない病気で入院・手術×4をこなし、その後諸々あって結婚した。結婚に伴い引っ越し、あとは面接というものを久しぶりに体験した(落ちた)。締切を破るのも人生初の体験だった。これは早急に解決しないといけない。

色々なことがありすぎてかえって長々と書く気になれないのだが、世の人は本当に自分語りがうまいと思う。

ところで先日ベケットの舞台《いざ最悪の方へ》を観た。もともとは戯曲ではないものを、舞台化したもの。そろそろ終焉すると言われるツイッターで感想を検索すると、①演者の驚異的な身体表現を称賛するもの、②スクリーンや身体へのプロジェクション等、ベケットの言葉との様々な格闘に意義を見出すもの、③窓からの身投げ(?)の身振り等、失敗することの演技に着目したものがあった。

①は論外で、みんなでコンテンポラリーダンスを観ようよという気持ちになった。②はわからないでもないが、2023年の演劇がその程度の趣向で終わっていいのか。③に関しては、たしかに失敗の演技だったのかもしれない。ただし、言うまでもなく失敗の演技は失敗に成功する定めにあり、その意味ではなんら枠を破壊するような力はなかった。失敗の演技ではなく演技の失敗が必要なのではないだろうか。それすらも古い、今は失敗に成功するのがアツい!ということなのかもしれないが。

こういうものを見た時に、あえて劣悪なものを見せることによってそのジャンルに対する批判的思考を促しているのか!?と思ってしまう癖があるが、絶賛の嵐ということはそういった企図も実現していないことになる。単にクオリティが低いものを無理に理論的に解釈するのもよくない気がするし、作品と向き合うのは難しいことだ。

ピーピング・トムは残っている席が微妙すぎて断念しました。