過去からの刺客

 

ディクシット 日本語版

ディクシット 日本語版

 

高尾山に登って祈り、寿司を食べてカラオケをして肉を食べてビリヤニを食べてボードゲームをした。多少元気になった。驚いたのは、寿司よりビリヤニのほうが気分転換になったこと。やはりスパイスが効くんだろうか。汗をかくのが。別の刺激をあたえることで。痛みを上書きしているという自覚がない程度の強度で。 

ディクシットは、配られた絵をもとに順々にお題を考え、他の人がそれを聞いて選んだ絵と混ぜた後、出題者が出した正しいカードを当てるゲームだ。たとえば「振られた日」というお題を出し、ネズミがピーヒャラと笛を吹いている絵を正解に選んだとしよう。他の人たちは、「振られた日」に合うような絵を、自分の手札カードから選ぶ。それをネズミカードと混ぜた後、表にし、数枚のカードから正解を選ぶわけだ。もちろん出題者は回答しない。そうすると、うつむいて落ち込んだピエロのカードなんかが出て、他の人は「これだ!」と思ってそれを選んだりする。非常に例としてふさわしくない気がするが、まあそういうかんじだ。

たしかに振られた日にはおわりピエロのようになるだろうから、他の参加者が出したカードは的を射ていたとも言える。しかし考えてほしい。ネズミの笛の先っぽは蛇になっているのだ。本人はピーヒャラと音色を奏でているつもりが、実際に出てくるものと来たら蛇なのだ。もちろん毒蛇だろう。そして毒蛇は噛み付こうにも笛(つまり振られた人の口)から離れることができず、その毒牙はどこにも届くことはない。ただ単に落ち込んでいるピエロより、よほど道化であると言えないだろうか。

そういうわけで、笛をうまく吹きたいと思っている。