あぶりトロユキ

札幌について何を書くことができるか。平成29年度が始まったことで、ついに札幌生活も5年目に入った。5年の間にはそれはもうたくさんの思い出が積み重なり、札幌を離れることなんてもう考えられない。などということは全くない。5年間何をしていたのだろう。記憶喪失に近いレベルでの何もない日々。すべて雪に埋もれた。

札幌生活を振り返ってみよう。

1年目。引っ越してきた日にまだ雪があって驚く。歩きスマホをしたら手からスマホが滑って雪の中に刺さった。クリスマスに大勢の前でアリアをアカペラ独唱した。

2年目。わりと長く付き合っていた元恋人と別れる。その後修論で体調を崩す。今思うと修論の時期は他のアウトプットをしなくてよいのでよかった。永遠に修論を書く生活がしたい。

3年目。このあたりから迷走が始まる。

4年目。自分を貴族と勘違いする。

5年目。心を入れかえて自炊に取り組む。

『雪』という小説がある。オルハン・パムク。パムクの小説について、内容を語ることはたいした意味を持たないと思う。ストーリーテラー。雪はテロの話でもある。奇しくも先日ペテルブルクの地下鉄でテロと思しき爆発があった。我々はテロの時代に生きていると言える。東京はテロへの誘いに満ち満ちていた。歌舞伎町での土下座、あれは一種のテロだったと言えるだろう。とにかく、内面のテロから逃れるべく札幌にやってきたはずだ。そうだった。そうだろう。

テロは形を変えて続く。だが今のところ、成功の兆しも見えつつある。雪でテロの心を埋め尽くした後には何が始まるだろうか。テロリストはどう社会復帰すればいいのか。出所したら歌舞伎町の駆け込み餃子で働きます。東京に北海道の回転寿司が入ってきていることが納得できない。どうしようもない回転寿司に行きたい。絶対的なおいしさがほしいわけじゃないときもある。あぶりトロサーモンを数年ぶりに、いや初めて認めた。カナディアン・スシがそこにはある。みんなも渋谷のKINKAに行ってね。ランチで。

スマホが充電できなくなった。虫歯ができた。年が過ぎるごとに、できることは少しずつ増えることもあり、できないことは圧倒的に増えていく。できないままのことがほとんどだ。西口の地下にあった沼津港も移転してしまった。寿司の末端組織。それでも生きていく。ある程度は、細胞レベルで。

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